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日産 ブルーバード 510——独立懸架のセダンがサファリを制し、アメリカを驚かせた

日産 ブルーバード(510型)の外観

日本の実用セダンが、世界でも通用すると証明された瞬間がありました。アフリカの荒野を走り抜き、そして北米の草の根レースで愛される——日産 ブルーバード 510 は、輸出産業としての日本車の実力を示した最初期の一台です。

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四輪独立懸架がもたらしたもの

510型の技術的な核は、後輪にセミトレーリングアーム式の独立懸架を採用したことにあります。当時の小型セダンでは、後輪を一本の車軸でつなぐ形式が一般的でした。

独立懸架にすると、片方の車輪が受けた衝撃がもう片方へ伝わりません。路面の凹凸が続く道で接地を保ちやすく、乗り心地と操縦性の両方が向上します。欧州の高級セダンが採る手法を、量産の小型セダンに持ち込んだ——この一点が、この車の評価を決定づけました。

欧州のセダンを見据えた設計

510型の開発では、欧州で高く評価されていた小型セダンが強く意識されたと伝えられます。四角く簡潔な造形も、実用一辺倒ではない、機能から導かれた明快さを狙ったものでした。

エンジンには、上部にカムシャフトを持つ形式が採用されます。当時の日本の実用車としては先進的で、回転の上がり方に気持ちよさがありました。安く作りながら中身は妥協しない——輸出で戦うために必要な条件を、この車は静かに満たしていたのです。

サファリと北米、ふたつの戦場

510型は、アフリカで開催される長距離ラリーで総合優勝を果たしています。数日にわたって未舗装路を走り続けるこの競技は、車の耐久性が容赦なく試される場でした。

一方、北米では小排気量のツーリングカーレースで活躍します。軽く、よく曲がり、部品が安く手に入る。この三拍子が、限られた予算で戦う人々に歓迎されました。競技での成功が販売を押し上げるという好循環が、ここで生まれます。

主要スペック

年式や仕向け地による差があるため、代表的とされる範囲を示します。

項目内容
車種区分小型セダン、クーペ、ワゴン
エンジン形式直列4気筒 OHC
排気量1.3〜1.8リッター級
上級仕様ツインキャブレターを備えたSSSを設定
駆動方式フロントエンジン・後輪駆動
後輪懸架セミトレーリングアーム式の独立懸架
変速機4速マニュアルを中心に、オートマチックの設定あり
主な戦績アフリカの長距離ラリーで総合優勝
生産年1960年代後半から1970年代初頭にかけて

コレクターズガイド:世界中で奪い合われる一台

510型は日本国内よりも、むしろ北米での人気が高い車です。良好な個体は国境を越えて動くため、国内での入手は年々難しくなっています。

  • 車体の腐食。フロア、リアの足まわり取り付け部、フェンダー内側が要所です
  • 後輪独立懸架のブッシュ類の劣化と、過去の修理の質
  • 上級仕様のSSSと標準仕様の見分け。仕立て直された個体があります
  • 内装、灯火類、外装の細かな部品の欠品
  • 改造歴。後年のエンジンへ載せ替えられた個体が多く存在します

部品は再生産品や海外製の補修品が流通しており、旧車としては比較的手が入れやすい部類にあたります。

日産という会社の技術志向

日産は、早い時期から海外の技術を積極的に取り入れ、自社のものへと消化してきた会社です。英国メーカーとの提携で量産技術を学び、そこから独自の設計へ踏み出しました。

510型は、その学習が結実した時期の作品です。欧州の設計思想を理解したうえで、日本の生産技術で安く堅牢に作る。この組み合わせが、以後の日本車の輸出攻勢の型を作りました。

ダットサンという名が残したもの

この車は多くの市場でダットサンの名で売られ、そのブランドを世界に定着させました。同時期に登場したスポーツカーとともに、日本車が安かろう悪かろうではないという認識を広めていきます。

やがてブルーバードの名は、より快適さを重んじる方向へ進んでいきました。だからこそ、走りの素性で勝負したこの世代は、いまも特別な一台として語られ続けているのです。

よくある質問

Q. なぜ北米でそこまで人気があるのですか

A. 軽量で後輪駆動、四輪独立懸架という素性の良さに加え、部品が安く豊富だったことが大きな理由とされます。改造の素材として定着し、いまも熱心な愛好家層が存在します。

Q. SSSとは何を指すのですか

A. ブルーバードの走行性能を高めた上級仕様に与えられた呼称です。高出力のエンジンと専用の装備を備え、競技の母体としても用いられました。

Q. 510という呼び方は何ですか

A. 車台を示す型式に由来する通称です。世代を区別する呼び名として国内外で定着しており、この世代を指すときは広くこの数字が用いられます。

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Author of this article

クラシックカー専門ライター。自動車雑誌の編集部に12年在籍し、欧州車・国産旧車の取材を担当。独立後はイタリア・英国のクラシックカーイベント取材やオーナーインタビューを重ね、これまでに試乗・取材した旧車は300台以上。愛車はアルファロメオ ジュリア スーパー(105系)と、レストア中の国産旧車1台。「名車の物語を、次の世代に手渡す」をモットーに、スペックの羅列ではなく“そのクルマが生きた時代”まで伝える記事を心がけている。

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