世界で最も売れたスポーツカー——その称号を最初に手にした日本車が、初代フェアレディZ(S30型)だ。1969年に登場したロングノーズ・ショートデッキの美しいクーペは、ジャガーEタイプの美しさを庶民の価格で実現し、北米で「ダットサン240Z」として社会現象級の大ヒットを記録。初代だけで世界累計約55万台を販売し、「Z」を世界ブランドに育て上げた。

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「誰もが買えるスポーツカー」という革命
S30の開発を率いたのは「ミスターK」こと片山豊(当時・米国日産社長)。「スポーツカーは金持ちの道具ではない」という信念のもと、米国の若者が手の届く価格で本格スポーツカーを提供することを目指した。米国価格3,526ドル——ポルシェ911の半額以下でEタイプに似たスタイリングと十分な性能が手に入る。240Zは発売と同時にバックオーダーの山を築いた。

主要スペック
- L20型:2.0L 直6 SOHC・130ps(日本のフェアレディZ/Z-L)
- S20型:2.0L 直6 DOHC 24バルブ・160ps(Z432。ハコスカGT-Rと同じレーシングユニット)
- L24型:2.4L 直6 SOHC・150ps(240Z/240ZG)
- 全長×全幅×全高:4,115×1,630×1,290mm(標準ボディ)
- 車両重量:975〜1,040kg
コレクター垂涎の存在が2つある。ひとつはGT-Rの心臓S20型を積むZ432(432=4バルブ・3キャブ・2カムの意)。もうひとつは1971年追加の240ZGだ。レース公認用に「Gノーズ」と呼ばれるロングノーズとオーバーフェンダーをまとった240ZGは、日本のZの中で最も美しいとされ、現在は2,000万円級の取引も珍しくない。
モータースポーツでの栄光
240Zは1971年・1973年のサファリラリーで総合優勝を果たし、「砂漠のZ」として世界にその頑丈さを知らしめた。北米ではBRE(ピート・ブロック率いるチーム)のZがSCCAレースを連覇し、Zのスポーツイメージを決定的にした。
現在の相場
- フェアレディZ(L20):400万〜800万円
- 240Z系良個体:600万〜1,200万円
- 240ZG:1,000万〜2,500万円
- Z432:3,000万〜5,000万円超
- チェックポイント:錆び(フロア・フェンダー・バッテリートレイ下)が最重要。ZG偽装(後付けGノーズ)と本物の判別は専門家に依頼を。
S30は「日本車が世界で愛された最初のスポーツカー」だ。直6の伸びやかな加速と、半世紀経っても色褪せない流麗なシルエット——Zの物語はすべてここから始まった。
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