日本車史上、最も美しいスポーツカーは何か——多くのエンスージアストが「FD」と即答する。1991年に登場した3代目RX-7(FD3S型)は、シーケンシャルツインターボのロータリーエンジンと曲線だけで構成された官能的なボディで、世界中のファンを魅了し続けている。『頭文字D』高橋啓介の黄色いFDとしても永遠のアイコンだ。

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曲線の彫刻 — デザインの奇跡
FDのボディに直線はほとんど存在しない。低く滑らかなフォルムはCd値0.31の空力性能と美しさを両立し、発表から30年以上経った今も古さを感じさせない。デザインを率いたのは当時のマツダデザイナー・佐藤洋一らのチーム。ロータリーだからこそ可能な低いボンネットが、このプロポーションを実現した。
13B-REW — シーケンシャルツインターボの傑作
- 型式:13B-REW 2ローター シーケンシャルツインターボ
- 排気量:654cc×2(1,308cc)
- 最高出力:255ps(I型)→ 265ps(IV型)→ 280ps(V型以降・1999年〜)
- 車両重量:1,250〜1,280kg
- 前後重量配分:50:50
- サスペンション:4輪ダブルウィッシュボーン
13B-REWは小径・大径2つのタービンを回転域で切り替えるシーケンシャルツインターボを採用。低回転は小タービンでレスポンス良く、高回転は大タービンで一気に伸びる。パワーウェイトレシオは280ps時代で4.57kg/ps——同時代のスーパーカーに匹敵する数値だ。1,300kgを切る軽量ボディと50:50の重量配分が生むコーナリングは「人車一体」の極致と評された。
タイプRZ・スピリットRという頂点
FDは生産期間中に細かな改良を重ね、I型からVI型まで進化した。各期に設定された軽量硬派グレード「タイプRZ」はビルシュタイン+レカロ+軽量化の本気仕様。そして2002年、生産終了を飾った最終限定車スピリットR(1,500台)は、FD乗りの聖杯として現在1,500万円超の取引もある伝説となった。
現在の相場
- 前期(I〜III型):400万〜700万円
- 後期(IV〜VI型)良個体:600万〜1,200万円
- スピリットR:1,200万〜2,000万円
- チェックポイント:圧縮測定値が絶対条件。シーケンシャルターボの制御系(通称「タコ足配管」)のトラブル歴、錆び、改造度合いを確認。ロータリー専門店での購入を強く推奨。
FDは「日本車の美」がひとつの頂点に達した瞬間の記録だ。ロータリーにしか作れないこのプロポーションと、シルクのように回る13B-REW——所有することは大変だが、それを補って余りある体験がここにある。
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