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Lamborghini LM002——砂漠を走るカウンタック、V12を積んだ元祖スーパーSUV

Lamborghini LM002 の外観

高性能なSUVは、いまや高級ブランドの主力商品です。しかしその考え方を最初に形にしたのは、意外にもランボルギーニでした。1980年代半ばに登場したLM002は、カウンタックと同じV型12気筒を前方に積み、砂漠を高速で走破するために作られた常識外れの四輪駆動車です。

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カウンタックのV12を前方に積むという発想

LM002の最大の特徴は、5.2リッター級のV12をボンネットの下に収めた点にあります。カウンタックで用いられたユニットを、悪路走行に耐えるよう吸排気や補機類を見直したうえで搭載しました。出力はおよそ450馬力とされ、2.5トンを超える巨体を驚くほどの速度まで引っ張ります。

足まわりは前後とも独立懸架で、当時の悪路向け車両としては先進的でした。タイヤは高速走行と砂上の走破性を両立させるため専用に開発されたもので、内部に緩衝層を持つ独特の構造を採ります。単なる力自慢ではなく、砂漠を「速く」走るための総合設計だったのです。

軍用車の試作から生まれた

LM002の起源は、1970年代末にランボルギーニが手がけた軍用向けの試作車にあります。当初はエンジンを後方に積む構成で、米国の軍需に応えることを狙っていました。しかし採用には至らず、計画は幾度も形を変えます。

その過程でエンジンを前方へ移し、自社のV12を積むという方針が固まりました。結果として生まれたのは、軍用車の骨格に高級車の内装と超高性能エンジンを組み合わせた、他に類を見ない車です。中東の富裕層を中心に受け入れられ、砂漠の道なき道を走る姿がブランドの新しい一面を印象づけました。

同時代の四輪駆動車との比較

1980年代の四輪駆動車といえば、実用一辺倒の道具か、悪路走破を突き詰めた専用車が中心でした。快適な内装と圧倒的な動力性能を同時に備えた車は、事実上存在しなかったのです。

LM002はそこへ革張りの内装と12気筒を持ち込みました。当時は奇抜な存在と受け止められましたが、いま各社が競う高性能SUVという分野の原型が、この一台にあったことは明らかです。時代が理解に追いつくまで、二十年以上が必要でした。

主要スペック

資料により差があるため、目安としてご覧ください。

項目内容
エンジン形式V型12気筒 DOHC(フロント縦置き)
排気量約5.2リッター
最高出力およそ450馬力(公称値)
駆動方式四輪駆動
変速機5段マニュアル
サスペンション前後とも独立懸架
車両重量およそ2.5トン超
生産年1986年ごろ〜1993年ごろ

コレクターズガイド:台数の少なさと維持の現実

LM002の生産台数は300台前後と伝えられ、ランボルギーニの中でも希少な部類に入ります。長らく色物として扱われてきましたが、高性能SUVの隆盛とともに評価は明確に上向きました。

維持については覚悟が要ります。専用のタイヤをはじめ、この車のためだけに作られた部品が多く、入手には時間がかかります。車体の腐食と、悪路で酷使された履歴の有無も確認したい点です。整備を続けてきた専門店の存在が、そのまま所有の可否を左右します。

フェルッチオが遺した気風

ランボルギーニはもともとトラクターで成功した企業家が興したブランドです。農業機械を通じて培った実用機械の知見と、高性能車への情熱。この二つが同居していたからこそ、悪路向け車両にV12を積むという発想が現実になったとも考えられます。

LM002は創業者が経営から離れたあとの製品ですが、既存の枠に収まらないという気風は確かに受け継がれています。奇抜さの裏には、常に技術的な裏付けがありました。

ウルスへとつながる系譜

長い空白を経て、ランボルギーニは再びSUVを送り出しました。現代の製品は洗練され、日常での使いやすさも段違いです。しかし高性能ブランドがSUVを作るという発想そのものは、LM002がすでに示していたものです。

砂漠を疾走する12気筒の四輪駆動車という異形。それが四十年近い時を経て、ブランドの主力を支える考え方につながりました。先駆けの車が持つ説得力を、LM002は静かに証明しています。

よくある質問

なぜ軍用として採用されなかったのですか

構成や運用の面で軍の要求に合致しなかったと言われます。結果として民間向けの高級車へ方向転換しました。

本当に砂漠を走れるのですか

専用タイヤと四輪駆動により、砂上での高速走行を想定して設計されています。実際に中東で活用された例が知られています。

カウンタックと同じエンジンですか

同系のV12ですが、悪路と高い負荷に耐えるよう補機や設定が見直されています。

維持で最も苦労する点は何ですか

専用部品、とりわけタイヤの確保です。購入を検討するなら、部品供給の見通しを事前に確認しておくことをおすすめします。

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Author of this article

クラシックカー専門ライター。自動車雑誌の編集部に12年在籍し、欧州車・国産旧車の取材を担当。独立後はイタリア・英国のクラシックカーイベント取材やオーナーインタビューを重ね、これまでに試乗・取材した旧車は300台以上。愛車はアルファロメオ ジュリア スーパー(105系)と、レストア中の国産旧車1台。「名車の物語を、次の世代に手渡す」をモットーに、スペックの羅列ではなく“そのクルマが生きた時代”まで伝える記事を心がけている。

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