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Bugatti Type 35——グランプリを席巻した青い彗星、レース史上最多勝利の名機

1924年から1931年の間、ブガッティ・タイプ35は2000勝以上を記録し、グランプリレースの歴史においてもっとも成功したレーシングカーとして君臨した。シャシー番号ごとに個性が異なり、職人の手仕事が随所に光るこの青い機体は、スポーツカーとアートの境界を溶かした存在だった。

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誕生——エットーレ・ブガッティの美学

エットーレ・ブガッティは「美しくないものは速くない」という哲学を持ち、タイプ35のデザインにもその思想が凝縮されている。アルミ製スポークホイール、細身のボディライン、むき出しのメカニズム。見た目の美しさと機能が分かちがたく結びついた設計は、当時のどのレーシングカーとも一線を画した。

エンジンと技術

直列8気筒2リッターエンジン(タイプ35B はスーパーチャージャー付き2.3リッター)を搭載。当時としては革新的だったバランスシャフトや、ブガッティ独自の一体鋳造クランクシャフトが滑らかな回転を実現した。最高出力は約128馬力(35B)、最高速度は210km/hに達した。

レースでの輝き

タルガ・フローリオ、フランスGP、ベルギーGP——ヨーロッパ中のグランプリ舞台でタイプ35は圧倒的な存在感を示した。ルイ・シロン、アルベール・ディヴォ、ルイ・ワグナーらトップドライバーたちが駆り、連勝を重ねた。その姿は青い疾風と形容され、観衆を熱狂させた。

現代に生きる伝説

現存するタイプ35はオークションで数億円単位の評価を受け、ヴィンテージレースでは今も現役として走り続ける。その存在はブガッティブランドの原点であり、後のヴェイロン、シロンにも続く「美と速さの追求」の始まりだった。

主要スペック

エンジン直列8気筒(Type 35B: スーパーチャージャー付き2.3L)
最高出力約128馬力(Type 35B)
最高速度約210 km/h
生産期間1924〜1931年
生産台数約390台(全バリアント合計)
レース優勝数2000勝以上(グランプリ史上最多)

コレクターズガイド:なぜ今も価値があるのか

クラシックカーの価値は単なる希少性だけでは決まらない。歴史的意義・機械的完成度・デザインの普遍性・来歴(プロヴェナンス)——これらが揃った車だけが時代を超えて評価され続ける。

現代の電動化・自動化が進む自動車産業において、エンジンの轟音と機械的な操作感を持つクラシックカーへの需要は逆に高まっている。ペブルビーチ・コンクール・デレガンス、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなどの国際的なイベントでの人気は衰えを知らない。

投資対象としての側面も無視できない。過去20年間で希少なイタリア製・イギリス製クラシックカーの価値は平均して年率10〜15%上昇しており、株式や不動産を上回るリターンを記録した車種も多い。ただし維持費・保管環境・整備記録の管理が資産価値の維持に直結することを忘れてはならない。

芸術家の息子が作った走る彫刻

エットーレ・ブガッティは自動車技術者である前に芸術家だった。画家の父を持ち、自身も彫刻・絵画に造詣が深いエットーレにとって、クルマは単なる機械ではなく芸術表現の媒体だった。「どんな部品も美しくなければならない——たとえ誰にも見えない場所でも」という彼の哲学は、エンジンベイの仕上げにまで及んだ。

モルスアイム——アルザスの小さな工房から世界へ

ブガッティの工場はフランス(現在の国境)アルザス地方のモルスアイムという小さな町に置かれた。エットーレはここに工場だけでなく住居・庭園・厩舎・ホテルを作り上げ「ブガッティ村」と呼ばれる独自の世界を構築した。現代のヴェイロン・シロン・ボルタも同じモルスアイムで生産され、100年以上変わらないこの地への帰属がブランドの精神的拠り所となっている。

現代のブガッティ——マルチリオン・ドルの工芸品

2005年に登場したヴェイロンは1001馬力・406km/hという数値で世界を驚かせた。その後継シロンは1500馬力・490km/h(速度リミッターあり)を実現。ヴァンパレードは不定形の4リッターターボをバッキアラッティが架装した、価格1800万ドルの世界一高価な自動車となった。クラシック・ブガッティの稀少性と現代モデルの超豪奢さが重なり、ブガッティというブランドの価値は今や他の追随を許さない境地にある。

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