1967年のモントリオール万博。62カ国が参加したこの祭典の「フィアット・アルファロメオ館」に、ベルトーネがデザインした未来的なスポーツカーが展示された。名前は「アルファロメオ・エキスポ・コンセプト」——しかし世界中の来場者はただ「モントリオールのあのクルマ」と呼んだ。その熱狂が、後の市販車「アルファロメオ・モントリオール」を生み出すことになる。

万博のスターから市販車へ——3年間の道のり
万博での熱狂的な反応に押されたアルファロメオは市販化を決定した。しかし市販化には3年を要した。市販版ではアルファ・ティポ33レーシングカー由来のV8エンジン(2.6L DOHC)を搭載し、本格的なスポーツカーとしてのスペックを実現した。1970年のジュネーブショーで市販版「モントリオール」がデビューし、再び世界を驚かせた。
スペック
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 製造年 | 1970〜1977年 |
| エンジン | 2.6L V8 DOHC(アルファティポ33レース用エンジン系) |
| 最高出力 | 200馬力 / 6,500rpm |
| 変速機 | ZF製5速MT |
| 車重 | 1,270kg |
| 最高速度 | 220km/h |
| 0→100km/h | 7.0秒 |
| 生産台数 | 3,917台 |
マルチェロ・ガンディーニのデザイン——ベルトーネの革命
モントリオールのデザインはマルチェロ・ガンディーニが手がけた。ランボルギーニ・ミウラ、カウンタックも彼のデザインであり、「スーパーカーデザインの父」とも呼べる存在だ。スラットルーバー(ルーバー状のBピラー)、幅広フェンダー、張り出したリップスポイラーが特徴的なモントリオールの外観は、今見ても未来的で個性的だ。この「ガンディーニ語法」は後のスーパーカーデザインに多大な影響を与えた。
不遇の名車——時代に翻弄された運命
モントリオールは1973年のオイルショックに直撃された。燃費の悪いV8エンジンを持つGTカーは時代の波に飲み込まれ、1977年に生産終了。わずか3,917台という少ない生産台数に終わった。「本来もっと評価されるべき名車」として、現在のヒストリックカー愛好家の間では高い人気を誇るが、生産中はその真の価値が認められなかったという意味で、モントリオールは典型的な「不遇の名車」だ。
現代における再評価——幻の名車の価値
生産中はあまり評価されなかったモントリオールだが、現在は本来の魅力が再認識されている。V8のサウンド、ガンディーニのスタイリング、アルファロメオのハンドリング——これら三つが揃った「幻の名車」として、ヒストリックカー市場での人気は年々高まっている。2010年代以降、その価格は著しく上昇しており、良質な個体は世界中のコレクターが争って求める存在となっている。万博のショーカーが市販車となり、時代に翻弄されながらも再び輝きを取り戻した——それがアルファロメオ・モントリオールの物語だ。