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BMW Z1——車体に沈むドア、ロードスターを実験室に変えた発想

BMW Z1——車体に沈むドア、ロードスターを実験室に変えた発想の記事見出し

BMW Z1は、ドアが下へ消える姿で記憶されるロードスターです。しかし、その仕掛けだけを切り取ると開発の面白さを見逃します。素材、車体構造、エンジン配置まで一体で考えたところに、この小さな実験車の本質があります。

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縦に動くドアとフロントミッドシップ

Z1のドアは、一般的な車のように横へ開かず、電動で車体下部へ下降します。開口部の下には高いサイドシルが残り、外観そのものが機構を説明しています。エンジンは直列6気筒で、前方でも後ろ寄りに置くフロントミッドシップを採用しました。目立つドアと目立たない重量配置の両方に、新しい設計を試す姿勢が表れています。

BMW Technikが形にした研究開発

Z1を生んだのはBMW Technikです。新しい素材や車体構造、開発の進め方を試す計画が、ロードスターという形を得ました。1987年のフランクフルト・モーターショーで披露された後、生産へ進んでいます。最初から既存車の屋根を取り去る発想ではなく、車をどう造るかまで問い直した点が、Z1を理解する大切な手掛かりです。

一般的なオープンカーと異なる見方

Z1を比べる軸は、加速の数字だけではありません。ドアの動きと乗り込み方、外板と骨格の分担を観察すると、通常のオープンカーとは違う設計課題が見えてきます。高いサイドシルをまたぐ乗降には、その車独自の作法が伴います。珍しい構造を便利さの証明と決めつけず、何を優先した結果なのかを考えると興味が深まります。

主要スペック

BMW Group Classicの諸元を基に、車体の各部分が担う仕事を比較します。排気量は2,494 cc、最高出力は125 kWです。生産期間は同アーカイブの1988〜1991年という区分に従っています。

部位Z1の構成役割・見どころ
エンジン直列6気筒・2,494 cc前方の後ろ寄りに配置
車体骨格溶融亜鉛めっき鋼製モノコック車体を支える構造
外板樹脂パネル骨格を覆う外装
ドア電動の上下スライド式サイドシル内へ下降

コレクターズガイド:外板と骨格を分けて見る

Z1の外板は樹脂ですが、車体全体が樹脂だけでできているわけではありません。鋼製の骨格と外装を分けて捉えることが大切です。個体を調べる際も、きれいな塗装だけで状態を判断せず、外板の補修記録と車体側の記録を合わせて読みたいところです。ドアの作動や建て付けも、この車の構想が現在どう保たれているかを知る観察点になります。

ロードスターの伝統を新しい方法で再開

Z1はBMWのZシリーズの起点となりました。過去の507に通じるオープンスポーツの伝統を、昔の姿の再現ではなく、新しい材料と構造でつないだ車です。古典的な長いボンネットの印象を残しつつ、ドア周辺は従来の車と違う線を描きます。伝統を守ることと、構造を変えることが両立している点に、このモデルの歴史的な面白さがあります。

今日の公式アーカイブから読み直す

現在のBMW Group Classicは、Z1を車体構造やエンジン配置とともに紹介しています。その説明を手掛かりに見ると、目を引くドアも単独の見せ場ではなく、研究開発の一部だったと分かります。写真を見る際は外観に加えて、開口部の高さやドアが収まる空間へ視線を移してみてください。完成した形から、設計者が解こうとした課題をたどれる車です。

よくある質問

ボディはすべてプラスチックですか?

いいえ。鋼製モノコックに樹脂外板を組み合わせています。外装の素材と車体を支える構造は別です。

ドアが開くと車体側面は全部なくなりますか?

ドアは下がりますが、高いサイドシルは残ります。この下部構造も外観と乗り込み方を特徴づけています。

Z1は展示だけのコンセプトカーですか?

いいえ。研究開発を出発点にしていますが、市販されました。BMWのアーカイブでは生産台数を8,000台としています。

公式出典:BMW公式:Z1の構造と諸元BMW公式:Z1開発史BMW公式:Z1シリーズ概要

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Author of this article

クラシックカー専門ライター。自動車雑誌の編集部に12年在籍し、欧州車・国産旧車の取材を担当。独立後はイタリア・英国のクラシックカーイベント取材やオーナーインタビューを重ね、これまでに試乗・取材した旧車は300台以上。愛車はアルファロメオ ジュリア スーパー(105系)と、レストア中の国産旧車1台。「名車の物語を、次の世代に手渡す」をモットーに、スペックの羅列ではなく“そのクルマが生きた時代”まで伝える記事を心がけている。

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