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BMW 507——アルブレヒト・ゲルツの傑作、エルヴィスとアメリカ人が熱狂したBMWの最高峰

1956年から1959年の間にわずか252台が作られたBMW 507は、アルブレヒト・ゲルツがデザインした美しいロードスターだ。アメリカへの輸出を主目的に開発されたが、製造コストが高すぎて1台売るごとに赤字だったという経緯を持つ。エルヴィス・プレスリーが西ドイツ駐留中に2台を所有したことで、今もアメリカで特別な人気がある。

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アメリカ市場のために作られたBMW

BMWの北米代理店マックス・ホフマンが「アメリカ人はメルセデス300SLに熱狂している。BMWにもそういう車が必要だ」とBMWに提案したのが507の始まりだ。目標価格は当時5000ドル(実際は9500ドルになったため販売は伸び悩んだ)。ゲルツのデザインは今でもBMWの歴史で最高傑作のひとつに数えられる。

3.2リッターV8の官能

当時のBMWが持つ最大エンジンである3.2リッターOHVアルミV8(150〜165馬力)を搭載。軽量なアルミボディと組み合わさって最高速度は220km/h以上。現代の基準では控えめな数値だが、精緻なステアリングフィールと軽快なハンドリングは今もドライバーを虜にする。

エルヴィスの507——修復と帰還

エルヴィスが所有した1台(シリアルナンバー70079)は後に塗り替えられ長年行方不明だったが、2014年にBMW本社が発見・修復し、オリジナルのアルピン・ホワイトに塗り直した。この「エルヴィスの507」はペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示され大きな注目を集めた。

コレクターズガイド:なぜ今も価値があるのか

クラシックカーの価値は単なる希少性だけでは決まらない。歴史的意義・機械的完成度・デザインの普遍性・来歴(プロヴェナンス)——これらが揃った車だけが時代を超えて評価され続ける。

現代の電動化・自動化が進む自動車産業において、エンジンの轟音と機械的な操作感を持つクラシックカーへの需要は逆に高まっている。ペブルビーチ・コンクール・デレガンス、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなどの国際的なイベントでの人気は衰えを知らない。

投資対象としての側面も無視できない。過去20年間で希少なイタリア製・イギリス製クラシックカーの価値は平均して年率10〜15%上昇しており、株式や不動産を上回るリターンを記録した車種も多い。ただし維持費・保管環境・整備記録の管理が資産価値の維持に直結することを忘れてはならない。

BMWの三色ロゴとその由来

BMWのロゴ(青と白の四分割された円)はバイエルン州の旗の色に由来する。航空機エンジンメーカーとして創業したBMWは、プロペラが回転する姿をロゴに描いたとも言われるが、実際は州旗の色取りが先だった。「バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(バイエルン発動機製作所)」というドイツ語の略がBMWだ。

「Sheer Driving Pleasure」——運転する喜びの追求

BMWのブランドスローガン「Freude am Fahren(運転する喜び)」は単なるキャッチフレーズではなく、車両開発の指針だ。どのBMWもハンドリング・重量配分・パワートレインのチューニングにおいて「ドライバーが楽しめる車」を最優先する。この哲学は1968年の2002から2000年代のM3まで一貫しており、BMWファンが各モデルに強い愛着を持つ理由となっている。

クラシックBMWのコレクター市場

507ロードスター・2002ターボ・M1といったクラシックBMWは近年急速に市場評価が高まっている。特に507は希少性(252台)とデザインの美しさから、世界のオークションで1億円を超える評価を受ける個体も出てきた。BMWグループは独自のクラシック部門「BMW Classic」を通じて旧車のレストアサービスを行い、歴史車両の価値維持に積極的に関わっている。

よくある質問

Q. なぜ1台売るごとに赤字だったのですか

507のボディは手作業で仕立てるアルミ製で、想定を大きく超える手間がかかりました。北米では手の届く価格帯を狙って企画されたものの実際の売値は当初の目標を大きく上回り、それでも原価を賄えなかったと伝えられます。

Q. エルヴィスが所有した個体はどうなったのですか

長く行方が分からなくなっていましたが、2014年にBMWが発見して修復し、本来のアルピン・ホワイトへ塗り戻しました。修復後はペブルビーチ・コンクール・デレガンスに展示され、大きな話題となりました。

Q. メルセデス300SLとはどこが違うのですか

300SLが直列6気筒に燃料噴射を組み合わせた技術志向のクーペであるのに対し、507は3.2リッターのアルミV8を積むオープンのロードスターです。速さを競うより、開けた道を優雅に流す性格が前面に出ています。

Q. デザインは誰が手がけたのですか

アルブレヒト・ゲルツです。北米代理店を務めたマックス・ホフマンの提案から企画が動き出し、ゲルツが描いたロングノーズの造形は、今もBMW史上最も美しい一台に挙げられ続けています。

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Author of this article

クラシックカー専門ライター。自動車雑誌の編集部に12年在籍し、欧州車・国産旧車の取材を担当。独立後はイタリア・英国のクラシックカーイベント取材やオーナーインタビューを重ね、これまでに試乗・取材した旧車は300台以上。愛車はアルファロメオ ジュリア スーパー(105系)と、レストア中の国産旧車1台。「名車の物語を、次の世代に手渡す」をモットーに、スペックの羅列ではなく“そのクルマが生きた時代”まで伝える記事を心がけている。

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